井上ひさし*その1/「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」
4月9日に亡くなった井上ひさしさんの追悼記事で、頻繁に引用されていた彼の「座右の銘」が、タイトルの文章です(ご自身の創作姿勢についての、でしょうか)。以前も同様のフレーズを目にしたことがあるのですが、いくつかバリエーションがあるみたい。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」(*私のうろ覚えによる)(朝日新聞の天声人語はこれを引いてなかったかな??)
または、
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことはあくまでもゆかいに」 (*日経新聞の追悼記事より。掲載日不詳)(「おもしろく」と「ゆかいに」が見方によっては重複するのが気になり、どちらかというと私としては、上の私のうろ覚えの方を採用したくなる…)
wiki井上ひさしには、次のような記載がありました。
「揮毫を頼まれると、『むずかしいことをやさしく、やさしいことふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと』とよく記していた」 (重複の問題は解決されているが、「まじめに」で締めるのは、なにか井上ひさしの本意に沿わないような気が--勝手に--、する)
いずれにせよ、名言ですよね。来年の書初めでは、(といっても書初め、してるわけじゃないのですが)、ぜひ、この名言を「揮毫(きごう)」したい。「揮毫」って、頼まれて、それなりの人物が書をしたためる際にしか使うべきじゃない用語だった??(私には、筆でさらっと色紙に書いたり、筆で書いたものを写してそれを木に彫り込んだりすると「揮毫」に当たるような、そんな思い込みがあるんですが… ←日本あるいは東洋=漢字文化圏の‘土着(??)’文化ですね)
といったところで、お題の「井上ひさし」からはひたすら離れてしまうんですが、 「書」に関心があります。(今、急に、ちょっと関心があったことを思い出した、といった方が正しいかな) いや、武田双雲さんが健闘しているあの「書」の世界に関心がある、というわけではなくて、一連の「文字」を書く、あるいは「空間にディスプレイする」、という、パフォーマンスのようなアートのような行為に、関心があります。そういうことしてるアーティスト、確か、いましたよね? うーん、名前その他をすっかり忘れてしまったんだけれど・・・ 今思い出したいと思っている人(日本人)のほかにも、ネオン管で詩とか格言とか(じゃなかったかも)を‘書く’アーティスト(これは欧米人)もいたと思うんだけど・・・・・・
古今東西の文学や哲学から気に入った文章をピックアップして、それこそ墨に筆の「書」でもいいしネオン管でもいいしパソコンのディスプレイにフォントでも紙にタイポグラフィーでもいいから、「書物」とは違った仕方で空間に配置してみる、って、なんか、やってみたいなあ。まず、文字や断章をピックアップして、それぞれについて、その見せ方を検討するところから、「プロジェクト(!?)」をスタートさせなきゃいけませんね。
空間に「文字」じゃなくて「音声」を配置すると、それは朗読だとか演劇だとかに繋がっていく。んー、そっかー。
演劇、といえば、井上ひさしさんの芝居では(と、いきなり出発点に戻る)、大昔、学生劇団が演じる『日本人のへそ』を、最近では蜷川幸雄さんの演出による旧作『天保十二年のシェイクスピア』『表裏源内蛙合戦』『薮原検校』、新作『ロマンス』『ムサシ』(去年の初演のほう)を見ています。そうだ、『きらめく星座』(『ムサシ』のチケットがなかなか取れなくて、これとの抱き合わせでようやく入手できた…)も見てた。あと、DVDでだけなんだけど、『天保十二年の…』は、蜷川幸雄じゃなくて劇団☆新感線のいのうえひでのりによる演出の方も見ています。
井上ひさしさん、劇場の客席に座ってらっしゃる姿を何回かお見かけしました。エキセントリックな風貌というのはそんなに目立たなくて、逆に、なんだかとても普通に、小さく見えたことを覚えています。
「井上ひさし*その3」で、井上ひさしの戯曲について、私が見た限りで感じたこと、考えたことを書きたい。
もうひとつ、去年の太宰治生誕百年に絡んでNHK「クローズアップ現代」に井上ひさしさんがゲストとして出演したのを見たのですが、井上ひさしによる太宰治、とても明晰で、また、私にとってはすごく斬新で、面白かった。YouTubeやNHKアーカイブで映像のストックを見つけられなかったことが残念なのですが… 「井上ひさし*その2」では、これを。いつになるかな。。
井上ひさしシリーズ、 「井上ひさし*その4」で井上ひさしの小説を取り上げるところまで、どうにかこうにかたどり着きたいです。
では、また。
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