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2014.09.12

文豪ググ祭りの意外な愉しみ / 40年以上前の前衛演劇論(P・ブルック)が古くない

朝日新聞が死にかけている。先月の慰安婦報道訂正と昨日の福島原発吉田調書誤報謝罪で。まあそれはいいとして(よくない?)、朝日新聞で‘100年ぶりに’再連載されている新聞小説・夏目漱石『こころ』は、今日9/12の朝刊に掲載された、初出大正三年八月三日の「百二回」でとうとう、「K」が自殺しました。ここのところ、デジタル版(紙面スタイル)を時折チェックしながらずーーっと、いつ自殺の回になるのだろうか、と気にしていたもので。100年前かー。重い。

勢いで思わず、昨日の「澁澤龍彦」に続いてまた、怒濤のググウィキ祭りに走ってしまいました。馬鹿です。「こころ」への拘泥から芋づる式に、芥川だの太宰だの三島だの川端だの自死した文豪を手繰り寄せてしまった。漱石は自死していないですけれど。あ、「こころ」連載(1914年)から遡ること11年、1903年に、漱石の一高の受け持ちの生徒・藤村操が華厳の滝で入水自殺していますね。有名な事件。Wikiには「やる気のなさを漱石に叱責された数日後、自殺した」(←これは知らなかった…)と記載されているけれど、因果関係はあまり表立って取沙汰されてはこなかったような印象。

(自死に関連して、モーリス・パンゲ『自死の日本史』を再読してみようか、とも思う。)

ところで文豪関連ググ祭りを実行すると、時折笑えるまとめページなどを発見できて、これが意外に楽しいです。たとえば「夏目漱石 こころ」でググると出てくる、「夏目漱石のこころとかいう小説wwwwwww:腹筋崩壊ニュース」 というページ。2ちゃんねるのスレッドをまとめたもののようなんだけれど(←よくわかっていない)、作品中の登場人物の重要な台詞「精神的に(S)向上心のないやつは(K)馬鹿だ(B)」を「SKB」と略して美少女日常系アニメ画(オリジナル)を添える。とか。「遺書長すぎだろどんだけノリノリやねん」「先生って言われてるが遺産だけが取り柄のニート」とか。「K」の墓にもたれかかって泣く着流しイケメン風「先生」の後ろ姿のイラストとか。先生について共感?を込めて「リアルなクズっぷりだった」とか。「先生」「K」「未亡人」「お嬢さん」の4人を今風キレイ絵のイラストでキャラクター紹介したものとか。(←先生、未亡人、お嬢さんは細面の美形、Kがむさくるしい浪人顔で描かれていて、その、場当たり的かもしれないけど誰もが納得してしまうような‘解釈’に感心し大笑いしてしまう。)「こころ」が今の若い人たちの心情にもリアルに触れてくる普遍的な作品だということの証左ですよね。すごい。このページでは森鴎外『舞姫』、梶井基次郎『檸檬』、中島敦『山月記』もネタとして扱われていて、そのこと自体がこれらの作品の「現在性」を逆照射しているって事態ですね。ちなみに、「芥川龍之介」でググるとなんと最初のページの4項目め!に出てくる「【文豪の片思い】太宰治が芥川龍之介のことを好きすぎてヤバい!-NAVERまとめ」  というページも笑えます。こうしてネタにされるということは、太宰という作家もやはり普遍的に‘現在’であり続ける「愛されキャラ」なんだなあ。

午後、ノマド読書。こないだ青山ブックセンターで買ったピーター・ブルック『何もない空間』(1971初版、晶文社)を読む。歯切れよく明快で、具体的で、40年以上前の本だというのに今なお新鮮な前衛演劇論。

本日のDVD鑑賞は、さらっと、若き日のブラピ出世作でロバート・レッドフォード監督の『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)。公開時、その後とも観ていなくて、初見です。川面に輝く一面の光が美しい。1920年代禁酒法の時代、大都市ならrolling20sの同時代のアメリカの、大自然に囲まれたど田舎モンタナ州の保守的にして信仰厚い一家の静かな生活。‘高貴’にして荒々しくそれでいて知的なフライフィッシング。抑制vs逸脱。影と闇の存在。逸脱と闇の側へと滑り落ちていく若き美しき無謀なブラピ、そして、静かに語られる‘悲劇’。甘美にしてどこまでも哀しい回想。無意識に反芻してしまう映画でした。それだけブラピが魅力的なんだけどね。それにしてもR・レッドフォードとブラピは確かに似ている。ブロンドで美形っていう点だけかもしれないけれど。R・レッドフォード主演作、特にアメリカン・ニューシネマ系の作品はもう30年来観ていないので、そちらをまとめて鑑賞し直したくもなりました。(あっそういえばこの『リバー・ランズ…』は、「普通の『いい映画』」の類いだと思います。自分で自分の首を絞めている……)

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