イランとメキシコの新旧名監督の作品をつづけて鑑賞
■今日の夕方TSUTAYA DISCASから届いたDVDを2本、立て続けに観た。アッバス・キアロスタミが日本人の俳優を起用して日本で撮った『ライク・サムワン・イン・ラブ』(2012)と、メキシコの俊英マイケル・フランコによる『父の秘密』(2012)。キアロスタミの方はあまり好きになれなかった(老教授と若い娼婦の女の子、その元恋人である若い男の間の三角関係が描かれるのだが、各登場人物のキャラクター設定----国籍、職業を含むバックグラウンド---が不自然に捩じれている感があった。それが意図された齟齬であるようにも感じられなかった。たとえば教授の家の構造・立地・出される料理・インテリアなど、とても洗練されていて魅力的なんだけれど、本来はフランス人?のためのシチュエーションを無理矢理日本人が演じているように見えた。リアリティが感じられず、日本人観客として奇妙な居心地の悪さを感じた)(もしかして監督は主人公の老教授に自分を投影している?なんてふうに---勘違いであっても---思い始めてしまうと、まったくいい気持ちがしなかったし)(ヒロインの粗暴な元恋人、加瀬亮の演技力でもっているような印象も抱いた。ストーカー系の役柄そのものには残念感があったけれど)(対話する2人の人間のキアロスタミ流の撮り方の独特な宙吊り感は面白いなあ)(ストーリーの展開やラストの着地のし方は‘見事’で、‘手だれ’を感じた)。父の秘密はよかった(重過ぎ・後味悪すぎではあった)。
■やっぱりキアロスタミは初期のジグザグ道三部作がいいなあ。特に『友だちのうちはどこ?』(1987)が大大大好き。イラン土着の生活の場の空気感、不安と紆余曲折の末に辿り着くやさしさと安心感に満ちた場所、屈折しながらも素直な子どもたちの素顔!!
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