すり替え・詐欺・‘美談’にいらだつ
■また1ヶ月が終わる。夏はまだまだこれからだが。
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■また1ヶ月が終わる。夏はまだまだこれからだが。
■暑さがぶり返している。
■吉祥寺図書館から延長借り出ししている「新潮」2014年1月号、掲載されている文芸作品群が予想外に面白くて、読み終えるまでは惜しい気がしてきてしまいまだ返却できないでいる。今日は、無頼にしてスノッブで文化人なボケ老人の独白による短編 筒井康隆「ペニスに命中」がとにかく可笑し過ぎて、ゲラゲラ笑いながら読んでいたら読んでいる間だけはあらゆる煩悩から解き放たれ爽快だった。
■そういえば朝日新聞(読んでるのは電子版)で今、連載している夏目漱石「こころ」、大正三年の新聞連載当時そのままの形態で復刻・再連載しているものが、とてもとても面白い。新聞小説としての「こころ」を再現するという秀逸企画!
■蟹江敬三が見たくてTSUTAYA DISCASにリクエストしていた旧作DVD2本が、昨日届いた。昨日、そして今日と続けて観る。根岸吉太郎(×立松和平)『遠雷』(1981)と柳町光男(×中上健次)『十九歳の地図』(1979)。『遠雷』は、目当ての蟹江敬三さんの出番が少なくてちょっとがっかり。20年後の‘祭りの準備’、みたいなATG映画。80年代初頭の‘片田舎’の空気が暑苦しい。『十九歳の地図』の方にはひじょうに満足。こっちも暑苦しい‘70年代(自主)映画’なんだけどね。同じ1979年の作品、曽根中生による日活ロマンポルノ『天使のはらわた 赤い教室』と並んで、最高の蟹江敬三映画に違いない。1979年=蟹江35歳の達成。
■DISCASから届いていたジャ・ジャンクーのDVD2作より、『世界』(2004)の続きを観る。現代中国の大都会に溢れる「ニセモノ」を‘牢獄’と捉え結局そこから脱出できない男女の絶望を描いた作品だった。今回観たもう一本の『青の稲妻』(2002)は、処女作『一瞬の夢』(1997)にどこか似て、「田舎」に取材し男ふたりの友人関係を媒介に、時代の変化と、それに流される側・取り残される側を対比させながら取り残される方の砂を噛むような実感をドキュメンタリータッチで描いた作品だったから、『世界』の方はよりドラマ色が強まっているという感。最新作『罪の手ざわり』(2013)までを含めて作品群を概観してみるというのもあるけれど、それはまた後日。
■「夏休み名画座企画for男子高校生・戦争アクション傑作編①」より2作目、スティーブン・スピルバーグ『プライベート・ライアン』(1998)を高2息子と一緒に観る。それにしても前日のUボートとこの日のプライベート・ライアンは、どちらも皮肉で絶望的なラストが共通している(正確には、プライベート・ライアンの方はスピルバーグ一流のヒューマニズム仕立てによって最終的には「絶望」が相殺されるが)。
■西荻TSUTAYAにチャリで走って「夏休み名画座企画for男子高校生・戦争アクション傑作選②」のためにクリント・イーストウッド『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』(ともに2006)を借りてくる。夕食後、まずは『硫黄島からの手紙』。
■午前中、ジャ・ジャンクー2本目『世界』(2004)を半分だけ観る。舞台は、北京郊外にあるという、‘世界’の観光名所や名建築を縮小コピーで再現したアミューズメント施設「世界」。(東武ワールドスクエアそっくりだけど、ネットでみる限り関連はなさそう。)ここで働くダンサーの女性と保安員の男性のカップルを中心に物語が展開する。「ニセモノ」で埋め尽くされた場所としての中国の大都会・北京。舞台となるテーマパーク「世界」はあからさまに‘世界’を偽装したものだし、保安員男性の浮気相手は、外国のファッション誌をもとに世界中のブランド服を自在にコピー(偽装)しては売り捌いている。「世界」を出て‘世界’と対峙したいダンサー女性の願望は、果たして叶えられるのか。
■ふと、夏休みに入った高2息子のために「夏休み名画座」を家庭内に開館することを思いつく。参考に、あらためて今日現在のIMDbトップ250をチェックし、第一弾として息子の食いつきがよさそうな「戦争アクション傑作編」を設定。さっそく西荻TSUTAYAで『Uボート』(1981)と『プライベート・ライアン』(1998)を調達してきた。まずは夕方〜食後、2回に分けて一緒に『Uボート』を鑑賞。しかしこれ、延々と潜水艦内の閉鎖空間での人間模様描写が続くあたり、普通の男子高校生には‘眠すぎる’作品だったかな……
■最近少しだけ寝付きが悪い。私にしては非常に珍しく。で、昨晩は枕元に三冊の文庫本……若桑みどり『イメージの歴史』、ハンナ・アーレント『人間の条件』、金井美恵子『愛の生活』……を持ち込んで交互につまみ読みしながら眠くなるのを待った。刺激的な三冊。そしてすぐに眠れた……><
■マルコ・ベロッキオ『愛の勝利を 〜ムッソリーニを愛した女』(2011)をレンタルDVDで観る。観始めの頃は、そのテンションの高さとドラマチックさ加減が自分的にはもうひとつしっくりこない?みたいな気分で観ていたが、最終的にはいい意味での満腹感を味わえたかな、の感。稠密で美しい映像、女の狂気(若尾文子@増村保造を連想させる)、映画内映画の多用(映画内映画のある映画についてのリストをつくってみようかというアイデア芽生えた)、ニュース映画内の実像ムッソリーニとその外側の映画内仮構ムッソリーニとの接続のさせ方、ムッソリーニとその息子を同じ俳優に演じさせることによる物語の増幅の仕方(セルジオ・レオーネ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』で同様な配役があったな…)、いちばん印象深かったのは、精神病院の柵をどこまでもよじのぼって行くヒロイン(イーダ・ダルセル)を背後から映す、引きのカットだった。空からは、上空の一点から一面に雪が舞い降りてくる。吸い込まれるような美しさ。あと、冒頭あたりの若きムッソリーニとイーダのベッドシーン。白目を剥きながら性交するムッソリーニ、その白目が闇の中でそこだけ光る不気味さ。後にファシズムへと向かう彼の内なる‘狂気’がすでにそこで小さく発光していたかのようだった。
■TSUTAYA DISCASのDVDにて神代辰巳『恋人たちは濡れた』(1973)を観た。日活ロマンポルノに仮託して、ヌーヴェルヴァーグやアメリカンニューシネマへの限りない映画愛をつづった‘引用の織り物’。こんなに引用で遊びまくっても、ちゃんと1本の映画として成立していることに感心。走る、逃げる、走る二人を正面から、真後ろから延々と捉え続けるショット(『勝手にしやがれ』)、ラスト近く、自転車に二人乗りしてぐるぐると同じところを回る男と女(『明日に向って撃て!』)、などなどなどなど。着物姿で男を追って全力疾走する絵沢萌子の、あられもないのにアスリートな姿が好きだなあ。アイデンティティの不確かさ、血縁地縁からの逃走、挫折、敗北、不毛。70年代前半の空気が切々と画面から流れ出します。誰もいないポルノ映画館の舞台で三波春夫を演じる主人公の若い男、走り続ける古自転車(主人公の男)と新しい車(もう一人の若い男)、風景のなかでのセックス(夜の廃船の船室、一面背の高い枯れ草の野原、森、砂浜、砂丘)、延々と続く男二人女一人の奇妙な馬跳び、任侠映画の口上を述べたてる若い女。演劇的でありながら映画的。このあいだ観た『青春の蹉跌』(1974)と2本を挙げただけでもう、日本の70年代は神代辰巳、と断言できるような気がしてきた。
■オーディトリウム渋谷で開催中の特集上映を意識して借りてきたダニエル・シュミット『ヘカテ』(1982)は、ひたすら美しい。光と影。移ろう色彩。官能。VHSの画質じゃああんまりでした。確かに劇場で観るべきの感。このあいだ観たマルコ・ベロッキオ『肉体の悪魔』(1986)に通じるものも感じる。80年代ヨーロッパの洗練という表現では、ワキが甘いかな。ただ、ヒロインであるヘカテに‘魔性’を感じたかというと、そうでもなかった。ベロッキオの主演女優の方が微妙に狂っていて怖かった。(ダニエル・シュミットは『ラ・パロマ』も未見なので、それは今後の課題。)
■ユーロスペースのパラジャーノフ特集を観に行かねば、と急に切羽詰まった気分になり、ばたばたと用意をして11時からの『ざくろの色』(1971)にどうにか間に合う。タイミングが合ったので続いてアップリンクでホドロフスキー『リアリティのダンス』(2013)、隙間の時間にはアップリンクから程近いSPBSに行って1冊文庫本を買う(金井美恵子『愛の生活』)。リアリティのダンス劇場鑑賞後、迷ったがやっぱり渋谷TSUTAYAにも立ち寄って稀少ものVHSを3本借り(D・シュミット、パラジャーノフ、アンジェイ・ワイダ各1本)、その後、渋谷から地元・吉祥寺に戻って他にもこまごました用事や買い物をいくつか済ませた。気分的に慌ただしかった一日。
■初パラジャーノフとリアリティのダンスについてのレポートは、明日以降。
■早朝のW杯決勝、放映時間を勘違いして、結局最終局面、延長後半の10分ぐらいしか観戦できなかった(ちゃんと最初から観ていた他の家族にばかにされる)。この時間帯にドイツが唯一の得点を上げたので、まあ肝心なところは観られた(??)と言うべきか。メッシのアルゼンチンをタレント多数のドイツが下し、ドイツ優勝。
■昨日届いたdiscas DVDは、大林宣彦『この空の花 長岡花火物語』(2012)と黒木和雄『祭りの準備』(1975)。昨日と今日で『この空の花』の方を観終える。大林監督って、こういう実験的な手法で映画を撮る監督だったんだ!?、と初めて認識。高2息子と一緒に観た。戦争について考えを深める映画を、息子の年齢の人間が見ることは有意義に違いない、と、親目線で自画自賛的に自分の行いを称揚?しつつ。(本人が自ら選んでこの種の映画を観ることはないだろうし!)
■朝からW杯準決勝、アルゼンチンvsオランダ。昨日のブラジルvsドイツは観戦せず、ブラジル大敗の結果を家族から聞いて息を呑んだ。今日は6時に起き出し、最初から観ていた高2息子と一緒に後半戦、延長戦、PK戦まで観る。力を抜いているように見えるが結果を出すメッシが印象深い。
■ワン・ビン『三姉妹〜雲南の子』(2012)の後半を観る。傑作。
■7/4といえばアメリカの独立記念日。1990年代初めに1ヶ月間ニューヨークに滞在した時、現地在住の友人に紹介されたNY育ちのバイリンガル在米日本人姉弟と一緒に(…じゃなかったかもしれない…)ハドソン川の方へ花火観に行ったことをふと思い出す。ものすごい人出だった。あれから20数年。
■TSUTAYA DISCASで届いたDVDにて、石井裕也『舟を編む』(2013)を観ている。松田龍平、宮崎あおい。評判に違わず、いいです。
■舟を編むを観て感動していたら、大学4年生の娘からメールが届いて内定が出たことを知る。めでたい!めでたい!よかった。(『舟を編む』の松田龍平に自分の娘をどこか投影して見てしまっていたので、よけい嬉しかった、というか‘シンクロニシティ’めいたものも感じた)
■で、その後、ユーロスペースに小川プロ特集『パルチザン前史』を観に行って、家族3人(京都在住の大4娘は当然除く)で西荻駅改札で待ち合わせて大4娘の内定祝いにお寿司食べて、ビールのおかげで眠くなって、でも9時からテレビで放映された夏休み前・金曜ジブリ枠の『もののけ姫』を高2息子につられて観て、でも眠すぎで行き倒れ状に寝て1日おしまい。
■昨日は渋谷シネマライズにてスパイク・ジョーンズ『her 世界でひとつの彼女』(2013)を1日(ついたち)割引1000円で、今日はデジタルTVのHD録画保存分からマルコ・ベロッキオ『肉体の悪魔』(1986)、イエジー・スコモリフスキ『ライト・シップ』(1985)を観た。スコリモフスキ、ベロッキオよかった。
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